オリジナル小説のタグまとめ

オリジナル小説」のタグがついている新着記事と人気記事をまとめました。エキサイトブログにはオリジナル小説に関連するブログ(日記、記録、写真、レビュー、噂、まとめ)がたくさん投稿されています。

「オリジナル小説」タグの記事(24)

  1. 春の空がかすむ - 日々の小説

    春の空がかすむ

    春の空が色あせたのはいつからだろう。鉛色の冬の空が少し明るんで、どんよりとした薄黄色に変わる。それが、春だ。大昔、俺のひいじいさんの時代には、空は青かったらしい。青なんて調合済みの高級染料でしか見たことがない。それも、糸に染め上げてしまえば褪せて薄い灰色をまとう。俺の家は代々、染色で食っている。ひいじいさんも、じいさんも、父さんも、そして三年前から俺も、水と化学物質と合成繊維に埋もれて働いて...

  2. 小さな小さな奇跡 - 日々の小説

    小さな小さな奇跡

    「これを読んでみなさい。勉強になるから」祖父が一冊の本をテーブルに置いて、ずいっと押し出した。俺はげんなりして、それを表情にも出したのだが、祖父は気づかぬふりをして湯飲みを持つと自分の部屋に引っ込んでしまった。残業後の遅い晩飯を中断して、本を手に取る。『大強運』という題名で、銀河をバックに作者のキメ顔の写真がでかでかと印刷された、あからさまにうさんくさい本だ。まともに触ると大凶運を引きかぶり...

  3. 闇を裂く杖第十話 - 日々の小説

    闇を裂く杖第十話

    綾子に引き立てられて警察署に出頭した重森安喜良は、婦女暴行未遂を認め、原田武彦の死亡も、事故ではなく殺意あっての殺害だったと告白した。綾子の行動は正当防衛であったとして、安喜良に負わせた傷については不問となった。 カネが入院したまま動くことも出来ず、他に身内のいない綾子を、藤田記者が身受け人として迎えに来てくれた。ぼろぼろに怪我をしている綾子を見て、藤田記者は言葉を失くした。藤田記者の張り込...

  4. 闇を裂く杖第九話 - 日々の小説

    闇を裂く杖第九話

    雨は激しくなっていた。痛いほどに肌を打つ。雨だれが泥道を叩く音以外の、何の音も聞こえない。綾子は自分の傘を拾いあげると、雑木林からよろばい出て来た安喜良に、安喜良の傘を投げ渡した。安喜良は傘を両手で構えた。じりじりと間合いを詰めてくる。綾子は全身の力を抜き、左手だけで傘の重心を取り、両腕をだらりと体側に垂らした。間合いが一間を切ったところで、安喜良が上段から袈裟懸けに切り込んできた。綾子はあ...

  5. 闇を裂く杖第八話 - 日々の小説

    闇を裂く杖第八話

    木に遮られて雨が弱まる。安喜良は傘を畳むと木に立てかけ、綾子を突き飛ばした。されるがままに下草に伏した綾子のワンピースを乱暴にまくりあげ、下着をむしり取った。綾子は初めて身じろぎして安喜良の体を押しのけるように腕を突っ張った。安喜良が綾子の頬を張る。二度、三度。綾子の頬が腫れあがった。「武彦を、殺したの?」低い声で綾子が尋ねた。安喜良はもう一発、綾子を殴った。「殺してねえよ」「殺したでしょう...

  6. 闇を裂く杖第七話 - 日々の小説

    闇を裂く杖第七話

    雨が降っていた。重森安喜良は父の言いつけに従い、古い歴史のある料亭へ父の供をしていた。重森議員の私腹に金を運んできてくれる土建屋や銀行家などとの顔合わせだった。にこやかに話を合わせてはいたが、安喜良は父の跡を継ぐ気など毛頭なかった。政治家などといった生ぬるい生き方はごめんだった。あふれるほどの父の財産を引き継いだら、あとは遊んで暮らすつもりでいるのだった。父と取り巻きたちが密談を始める隙を捉...

  7. 闇を裂く杖第六話 - 日々の小説

    闇を裂く杖第六話

    「綾ちゃん、よく来てくれたわねえ。ほら、武彦。綾ちゃんよ」カネの病室を訪ねた綾子の瞳に、じわりと涙がにじんだ。カネは胸に抱いたぼろぼろの人形に「武彦」と語りかける。「綾ちゃんがいてくれて助かってるわ。いつも本当にありがとう。武彦もね、とっても感謝しているよ」人形を綾子の方に差し出したカネは、慈愛に満ちた目を綾子にも向けた。「ねえ、綾ちゃん。武彦とも話していたんだけど。もし綾ちゃんさえよければ...

  8. 闇を裂く杖第五話 - 日々の小説

    闇を裂く杖第五話

    道場に通いながら、綾子は安喜良の身辺を探り始めた。職をもたない安喜良の生活には決まった行動というものがなかった。家を出てくる時間もバラバラ、行き先もバラバラ、ただ、なぜか自動車には乗らなかったため、尾行は割合、うまくいった。ある日、酒場が並ぶ薄暗い路地に入った安喜良を追おうとしたところを、肩をつかまれ引き留められた。慌てて一歩引き、振り返ると、新聞記者の藤田が立っていた。「君、どうしてこんな...

  9. 闇を裂く杖第一話 - 日々の小説

    闇を裂く杖第一話

    「武彦!武彦!」中年を過ぎた女が泣き叫びながら、青年の体を揺さぶる。嗚咽が警察署の霊安室にこだまする。青年にはなんの反応もない。ただ、なされるがままにゆさゆさと揺れている。彼の母であるその女、カネは武彦の胸に顔をつっぷして大いに声をあげて泣いた。 原田武彦、享年十七歳。製紙工場に勤務していた。母一人子一人で、幼い頃から聡明であったが、父のいない家計を助けるため、中学卒業からずっと工場で働いて...

  10. とってもトロピカル - 日々の小説

    とってもトロピカル

    大寒もすぎたけれど、寒さ厳しく春まだ待ち遠しい、こんな季節でも、ここ楠美農園はすでに炎暑につつまれている。すでに、というか、いつもつつまれている。バナナ、マンゴー、サボテンなんかを育てている楠美農園は、ビニールハウス50棟を擁する広い農園だ。四季を問わず、熱帯の果実を市場に提供している。最近、新しい植物も導入することになり、ビニールハウスが3棟増えた。その3つすべてにコーヒーの木が植えられた...

  11. あまい時 - 日々の小説

    あまい時

    四角いおもちの もちのすけあずきの、あん子に恋をしてジリジリもえる 恋心ジリジリジリジリジーリジリ想いはどんどんふくらんだあん子も気づいた恋心ぐつぐつぐつぐつぐーつぐつ想いはどんどん煮込まれた四角いおもちのもちのすけあまーいあずきのかわいいあん子想いはとうとう通じあい、はれてめでたくぜんざいにめでたやめでたい めおとぜんざいあな うまし。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~...

  12. くろとしろ - 日々の小説

    くろとしろ

    しほちゃんは、お昼ごはんのあと、画用紙にクレヨンで、絵をかいていました。ぽかぽかあたたかい日でおなかはくちくて、しほちゃんは、うつらうつらすると、ことん、と寝てしまいました。しほちゃんが、すーすー、寝息を立てているのを確認して、クレヨンたちがニョキニョキっと立ち上がりました。「あ〜あ。らんぼうに握るから、体が半分で折れちゃったよ」「私なんか、あちこち塗られるから、もうすぐ無くなっちゃうんじゃ...

  13. 百人百様 - 日々の小説

    百人百様

    「卵かけご飯にナメタケ以外ってありえんやろ」妹がぶつくさ言いながら『TKG』という写真集をめくっている。『TKG』=『卵かけご飯』。なんかネズミーランドみたいな略しかただ。自分で買ってきておきながら文句を言うというのがよくわからないが、妹的にはなにか整合性があるのだろう。ぶつくさぶつくさ言いながら写真集をめくり終わり、妹が立ち上った。「その本、借りていい?」「あげるよ」ぷいっと顔をそむけて台...

  14. 夏空 - 日々の小説

    夏空

    『バッターボックスには石橋。期待の一年生エースです』久しぶりに見る遼ちゃんはテレビの中、なんだか大きく見えた。この半年、見ないうちにずいぶん背が伸びたんじゃないだろうか。甲子園のマウンドに立つ。球児なら誰もが夢見るその姿を、遼ちゃんは手に入れた。当たり前だ。だって、遼ちゃんだもの。二軒お隣、二歳年上の遼ちゃんは小さい頃から私のヒーローだった。強くて優しくて野球が上手で。ずうっとエースで4番。...

  15. 追善能 - 日々の小説

    追善能

    楽屋口から駐車場に出ると門が閉められ警備員が立ち、その門の向こうにはぎっしりと無数の人の顔がこちらを向いていた。一体何事だろう、何かあったのだろうか?「あの、車を出したいんですが」警備員に話しかけると、彼はビックリした様子で振り向き、かなり大きな声で言った。「あんたたち、能楽堂の人!?今、車出すのは無理だよ!!花火が終わるまで待って!」そうか。今日は8月1日。大濠公園花火大会の当日だ。街の中...

  16. 星をみつめて - 日々の小説

    星をみつめて

    もう、二時間。葉子と並んで、夕焼けで赤く染まった川を眺めている。黙ったまま、ぼーっとしている。「恋愛ってさ」独り言みたいに、葉子がつぶやく。「恋愛って、お互いを見つめ合うことなんだって。そんでさ」ぽつり、ぽつりと言葉をつむぎ、また、だまってしまう。僕は川を見たまま、聞くとも無く聞いている。「結婚はさ、二人で並んで同じところを見つめることなんだってさ」「そうか」「うん」また、黙る。結婚しよう、...

  17. キズモツワタシ - 日々の小説

    キズモツワタシ

    私の部屋には一本の木の棒がある。長さ160cm、幅15cm、厚さ3cm。この棒は、もとは弟の部屋にあった。弟は、私が7歳のときに突如あらわれた。7年間、一人っ子としてあまあまと甘やかされた私にとって、弟は私をおびやかす敵だった。それでも生まれてからしばらくの間は私も弟をかわいがった。やはり赤ん坊のかわいらしさにかなうものはない。その弟に知恵がつき、保育所へ通うようになった2歳ごろから、私はと...

  18. ゆりかご - 日々の小説

    ゆりかご

    女一人で、どこの店にも入れるようになって、10年はたつ。ラーメン屋、バー、居酒屋。昔は独り呑みなんて考えられなかった。ところが、独身、彼氏なし、キャリアだけが積みあがるアラフォー女になると、友達は皆、子持ちの主婦。プライベートの時間まで会社の人間の顔を見たくはない。必然的に、独りに慣れてしまった。今日も、始めての居酒屋に、ぶらりと入る。行きつけは作らない。なんだかんだと世間話などしたくないか...

  19. 2LDK1万5千円 - 日々の小説

    2LDK1万5千円

    おかしいとは思っていた。あまりに安すぎるので何かあると覚悟はしていた。たとえば、事故物件で幽霊が出るとか、隣の住人がものすごいクレーマーだとか、窓がない部屋だとか。不動産屋の対応もおかしかった。「はい、こちらですね、大人気でして!今日も三件、問い合わせがね、入ってまして。もう本当、すぐにも決まっちゃいますよ。大人気でして!見学?あー、ごめんなさい。まだね、前の住人さんが住んでるんですよお。だ...

  20. ハットとりっく - 日々の小説

    ハットとりっく

    私、帽子が似合うんです。どんな帽子でもすごく似合うんです。私、頭がデカイんです。どんな帽子でも入らないくらいデカイんです。じゃあ、どうやって帽子が似合うって言ってるかって?それはね、遠近法を使うんだよ。お店の人に帽子を持ってもらってね、私が遠くに歩いていってね、ちょうどいい位置でシャッターを下ろすと、あら不思議。まるで帽子をかぶっているような写真が撮れるの。東京タワーを手のひらに乗せたトリッ...

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