日本におけるブラジル

1908年4月28日、第一回ブラジル日本移民の781名を乗せた移民船「笠戸丸」が神戸港を出帆し、6月18日にサントスに到着してから今年で111年目を迎えた。この間、紆余曲折を経て、今日ではおよそ190万人を擁する世界最大の日系社会がブラジルで築き上げられている。　と言われても、ピンとこない方がほとんどではないだろうか。片道だけで丸一日以上を要する南米大陸にあるブラジルのこと、目下国際的に問題...

切手を通して識るブラジル史－1. ブラジルにおける切手のはじまり－

　それが何であれ、ある物事を識るにはその背景を知ることでいっそうの理解が深まるものだと思う。であるから、手始めに以下、ブラジルにおける切手の沿革を概観したい。　ブラジルの貨幣（硬貨/ 紙幣）および切手はブラジル造幣局(Casa da Moeda do Brasil)で製造されている。同局はブラジル植民地時代真っただ中の1694年3月8日、ポルトガル人統治者によってサルヴァドールに創設された。...

切手を通して識るブラジル史－0. イントロ

　いつ頃からかは分からないが、日経新聞の文化の欄に、学芸員やら教授やらの専門家たちがある芸術作品を一点取り上げて簡単明瞭に紹介するというシリーズが設けられている。いま（2019年8月24日）は「アジアの大衆芸術」だ。他のアジア諸国には訪れたことはないけれど、おもしろくて収蔵先美術館が書かれてあるものにはつい赴いてみたくなる。　ふと、はたしてブラジルにも応用できるだろうかと考えた。別に自分は芸...